調査項目
1.エンジニアリングレポート
(フルセットレポート)
次の5項目について調査を行います。
2.各種個別調査
上記の5項目と
⑥ 建物構造設計評価(構造検証) について、目的に応じて単独、または組み合わせて調査を行います。
【各調査項目の解説】
- ① 遵法性調査
- 資産価値を下げるだけではなく、法的責任の発生する可能性のある法令違反の有無を調査します。調査は、原則として確認申請図書(確認申請書や確認済証、検査済証などの書類と図面)および各種法定点検書類と現地との目視照合により行います。(検査済証がない物件でも、図面があれば調査が可能な場合もあります。)関係法令の対象範囲はその目的によって変わるため、お客様の取引内容、調査目的に応じた調査を行います。
法令の種類 | 内容 | |
---|---|---|
1 | 建築基準法及び建築基準法に基づく条例 | 地方公共団体が定めたもので適合義務があります。 敷地、道路等の制限、地域地区等の制限、日影規制等多くの項目が含まれています。 |
2 | 消防法 | 建築基準法と並び、火災予防や消防設備に関する防災安全上重要な法令です。 |
3 | 建築基準関連規定 | 都市計画法・駐車場法・バリアフリー法等、建築確認審査で審査対象となる法令です。 |
- ② 劣化診断(現況調査)、修繕更新費用算出
- 現地調査やヒアリング、修繕更新履歴等の書類を基に、屋上防水や外壁、構造躯体や内部仕上げなど、建物・設備の劣化状況、異常の有無を診断します。そしてその診断結果を基に、今後その建物を使用し、運用していくためにかかる費用を算出します。なお、この修繕更新費用の算出では、機能や性能のアップを目的とした改修費用(バリューアップ)などは含まれません。
(※修繕更新費は実際の管理運営方針等により金額に幅があるため、目安(参考値)となります。)
- ③ 再調達価格算出
- 調査対象となる建物を、現時点(調査日時点)で竣工当時と同じ仕様により建てた場合にかかる費用「再調達価格」を、図面や建設当時の工事請負契約書などの資料を基に算出します。
(設計料、解体費、撤去費用、家具・什器など一部の費用は再調達価格に含まれません。)
この再調達価格は、損害保険を検討する場合や地震リスク評価の算定の根拠、長期修繕計画の作成などに用いられます。
- ④ 地震リスク診断
- 対象地の地震危険度や建物が保有する耐震性能を、地盤特性・活断層データや構造図・構造計算書などから求め、想定される大地震の際にどれくらいの被害が予想されるのかを表す被害損失の指標『PML値』を算出します。
- ⑤ 環境リスク調査
- アスベストやPCBなどが建物に存在している場合、建物の解体や機器の更新などを行う際には当該有害物質を除去・処分・保管状況の届出をすることが、法律等により義務付けられるケースがあります。2011年3月期より、固定資産の除去に関わる費用を将来の債務として認識し、資産・負債に両建て処理をする会計基準が施行されるため、特に古いビルの場合は注意が必要です。 また土壌汚染は、汚染が発覚すると多額の除去費用・改良費用がかかる場合があるため、事前にリスクを把握することが不可欠です。 それらに関し次の方法で調査を行います。
- ⅰ 建物の有害物質含有調査(アスベスト・PCB)
- 現地目視調査、建物管理者へのヒアリング、機器点検報告書及び建物の竣工年度、仕様書、仕上表などにより、アスベストやPCBなどの有害物質が建物内に存在している可能性の有無を調査します。調査の結果、建物内に存在している可能性がある場合、ご要望に応じて採取分析調査(フェーズ2調査)を行います。
- ⅱ 土地履歴調査
- 過去にさかのぼり対象地、及び周辺の土地の利用履歴調査を行います。過去の地形図・住宅地図・登記簿謄本等の資料、及び土地所有者、近隣へのヒアリングにより調査を行います。どのような建物が建っていたのか、どのように土地が利用されていたかを調べ、土壌汚染の可能性レベルを判断します(フェーズ1調査)。調査の結果、土壌汚染の可能性が高い場合、ご要望に応じて表層土壌調査やボーリング調査などの採取分析調査(フェーズ2調査)を行います。
- ⑥ 建物構造設計評価(構造検証)
- 構造計算書偽装事件以降、改正建築基準法・建築士法の施行により、新築物件についてはかなり信頼度が増したと考えられる構造計算書・耐震性の問題ですが、着工前・既存建物を問わず第三者の立場から構造計算書のチェックを行います。 主なチェック内容は、設計年次、準拠した設計基準、構造計算プログラム、耐震計算ルート、設計条件、柱量・壁量、解析結果、柱・梁などの部材、構造図と構造計算書との整合性の確認などです。チェックする部材の範囲により標準調査と全数調査に分かれます。
- ⅰ標準調査
- 構造計算書及び設計図(構造図・意匠図)をチェックし、建築基準法及び施行令等の耐震規定に適合しているかどうかの判断を行います。調査範囲は、耐震性能に関わる柱・梁などの部材の中から抜粋した特に重要となる部材(1階の柱・スパンの大きい梁等)となります。
- ⅱ全数調査
- 構造計算書及び設計図(構造図・意匠図)をチェックし、耐震安全性に関して建築基準法及び施行令の耐震規定に適合しているかどうかの判断を行います。調査範囲は耐震性能に関わる柱・梁などすべての部材となります。